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ホタルの養殖方法 孵化、エサやり、水替え

ホタルは里の暮らしの中で生きています

ホタルの養殖は、近年少しサボっていましたが、2008年7月再び育成観察を試みました。 以下はその育成方法及び観察記です。

【写真・資料提供 ササユリ研究博物館】
※写真・解説文の著作権は竹内幸生にあります。無断使用お断りします。

ホタルの養殖方法

<孵化 ― ゲンジボタルで30日、ヘイケボタルで23日位>

産卵箱

産卵箱は、1辺が40cmの立方体で、壁四方と底を1mmの網張り、上面に透明のアクリル板でフタをします。箱の中には、ミズゴケを山盛りにした小皿入れ、箱の底下は5cmほど浮かせるように足を付けます。その下へは水を入れた容器のバットを受けます。ミズゴケの小鉢は2〜3日に1回溢れるまで水をかけます。

産卵箱

次に、ホタルの最盛期に雄と雌を捕まえてその産卵箱に放ちます。10日もするとホタルの成虫は死んでしまいますが、そのミズゴケには卵が産み付けられています。待つことゲンジボタルで30日、ヘイケボタルで23日位で孵化してきます。それは、体長1.5mm幅0.3mmという眼では見えないほどの小さな幼虫の誕生です。

幼虫が着水したバット

幼虫はミズゴケを這い出し、網をくぐり抜け、下に受けたバットの中へ着水というわけです。これが10日ほど続くので、それが済んだら産卵箱を片付けてバットだけにします。

<餌 ― カワニナを水槽で飼う>

ピーマンなどを食べるカワニナ

餌は、近くの川や野業用水路でカワニナを採って来て、水槽で飼っておく。餌はカボチャ、キャベツかジャガイモの輪切り、ピーマンなどを与えます。水は腐りやすいので、エアーレーションをして、2日に1回は水を替えます。

ホタルのエサとなるカワニナを飼っている水槽

カワニナは雑食性なので、野菜や、煮干、鰹節などよく食べます。私はミネラル(主にカルシューム)の補給に古いコンクリート片を入れています。

<餌やり ― カワニナを剥き身にし夜間に与える>

ホタルにエサのカワニナをやっているようす

カワニナの剥き身を1つのバットに3個ほど与えます。カワニナをピンセットの間に挟んで殻を潰し、それを水の中で洗いながら身を取り出します。
さて、なぜ「剥き身」なのかというと、自然界ではホタルの幼虫は自分の体の大きさに合ったカワニナを捕食しますが、人工的に飼っているので、そうできないからです。小さい幼虫は小さいカワニナの赤ちゃんを食べます。養殖ではそれを用意するのが極めて難しいのです。
潰してしまうと腐り易いという欠点はありますが、確保は容易です。そのため、バットの水は毎日替える必要があります。水温が低く腐りにくい夜間に餌をやり、翌朝餌を取り出して捨てます。餌は日中に与えません。

<エサの食べ方 ― 水温25℃と暗闇がカギ>

エサのカワニナに群がっているホタルの幼虫

ヘイケボタルもゲンジボタルも飼っていますが、ヘイケは高温にも酸欠にも強いので養殖し易いようです。例えば、夕方バットへ餌入れると、ヘイケは群がってくるのに対し、ゲンジは見向きもしないということがあります。
これを見た時には、ゲンジは生きた餌でないとダメなのかと思ったのですが、原因は水温にあるようです。水温は、真夏は日中30℃を超え、夕方は27℃、深夜は24℃となります。2:00AMにそっと覗いてみると、ゲンジの方もヘイケほどでないにせよ、沢山エサに群がっていたのです。多分、水温の低さに加え、真っ暗という環境も影響するのだろうと思います。

<水替えの困難さ ― バットの水替えは毎日>

バットの水替えを慎重にしているようす

バットの水を替える時は、まず3分程、静置してから、上澄みの水をバットを傾けながら捨てます。次に手でバットの水垢を軽く洗うようにかき混ぜながら注水し、3分静置した後上澄み水を捨てます。これを2,3回繰り返す。
この時、何%か浮いた幼虫を捨ててしまうことになりますが無視します。バットの幼虫は2、3回脱皮を繰り返し1cm程に成長した頃には、上水に浮くこともなくバットの底にしっかり吸着しています。

<ほたるも夏バテ ― 新しく冷たい水で元気回復>

ホタルの幼虫を観察している会員

連日の暑さに、ホタルの養殖しているバット(容器)の水温は30℃を超えている。25℃以上になると、ホタルの幼虫は動き廻らなくなり、何十匹もが集まって団子状態になっている。
ホタルの「夏バテ」だろうか。エアレーションはしているが、高温下では餌が腐り、水が濁って酸欠になってくる。 こんな時、新しくて冷たい(26℃)水に入れ替えてやると、一時的だが元気に動き廻るのが分る。

<成長に違い ― ヘイケは平均して大きく、ゲンジは成長がバラバラ>

ホタルの幼虫を観察している会員

幼虫については、ヘイケはゲンジに比べて高温や酸欠に、より強いといわれている。
そのせいかヘイケの方が食餌力が旺盛で、好物のカワニナを与えるとすぐに集まって来る。一方、ゲンジはパラリ、パラリと数匹が集まって来る程度である。
この違いは、ヘイケは平均して大きく成長しているのに対し、ゲンジは大きいのが数匹、細かい幼虫も多数存在して、成長がバラバラという感じだ。しかし、いずれも外見上の違いは全くない。

<1ヶ月で体長12mmのものも ― 生育差は生き抜く術>

ホタルの幼虫を観察している会員

孵化して約1ヶ月が過ぎた。体長1mmほどの幼虫が今では大きいもので12mmを超えている。勿論、全部ではなく3mm〜12mmといった幅がある。
よく考えてみるとこの生育差は厳しい自然環境を生き抜くための適応かも知れない。小さければどんな隙間も入り込め、餌もごく微量でよい。また遠くへ流されるに都合がよいのかも。
もう1つは時間的な術として、普通1年だが、2年越しの越年虫になることも可能だ。

<幼虫も発光が美しい ― 刺激で光るのは威嚇か?>

ホタルの幼虫を観察している会員

ホタルは、幼虫も発光するのが面白い。成虫のように幻想的に点滅するわけではないが、少し長い間隔で点滅する。
飼育しているバットを叩いて刺激を与えると、怒るのかびっくりするのか全部が一斉に光る!! この間隔も光の強さも、同じ大きさの幼虫ではゲンジもヘイケも差はない。
ただ、2mm以下の幼虫も沢山いるはずだが、どうも7〜8mm以上の大きい幼虫だけが光っているようである。ちょうど、粒の揃った宝石が四角い皿にバラ撒かれて、青白く光っているようだ。
成虫の発光は、♂と♀の通信手段と聞くが、幼虫はどんな必要があって発光するのか分らない。存在としての意思表示なのか、外敵への威嚇なのか、それとも上手な通信手段獲得のための訓練期間なのかもしれない。

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